2007年 10月 13日
2000年の今日。。。都内の病院の狭い病室にいた。 片側の壁にはその1面ほどもある大きな空気清浄機が付いていて、他にはテレビと小さな洗面台、トイレが備え付けられていた。 トイレには仕切りがなくカーテンさえも付いていない、、、丸見えだ。 病室入り口の正面の壁には大きなガラス窓が付いていて、見舞いに来てくれた家族や友人とはガラス越しにインターフォンでの会話しか出来ない。まるでアメリカ映画などで見る刑務所のようだが、ここは無菌室という部屋。 ベッドに横になった私の頭上には血液の入った大きなパックがぶら下げられている。 ただの血液ではない。 骨髄液だ。 私はこれから骨髄移植を受ける。 医師2名と看護師2名、ガラス窓越しに実家から来てくれた母、都内で働く弟に見守られながら移植は始まった。 鎖骨の下から心臓近くまで入れられたカテーテルを通して骨髄液が私の体に入っていく。 骨髄移植は輸血と同じなので何の苦痛もない、むしろ苦しいのはその前後。移植前には全身に放射線を浴び、抗癌剤の一種を使い自身の骨髄を破壊するのだが、発熱、だるさ、強烈な吐き気に苦しめられた。 そして髪も抜け落ちた。 移植後は合併症や薬の副作用などに苦しむ事になった。 3時間半程だったか、ゆっくりと時間をかけて骨髄液を体に入れていった。 しばらくして医師と看護師が席を外した。 夜遅くなるので母と弟には帰ってもらった。 正直退屈で、友人に電話を入れた。 『俺、今何してると思う?』 『骨髄移植~!ビックリした?』 本当は不安と緊張を振り払おうとしていたのかも知れない。。。 ふと落ち着いて頭上の骨髄液を見つめていたらボロボロと涙が溢れてきた。 見ず知らずの人間の為にドナーとなってくれる人がいる、さぞかし勇気のいる事だろう。 健康な体で全身麻酔を受ける不安。仕事だって休まなければいけないだろう。。。 病気になりふさぎ込みがちだった私に母が土下座をした。 『丈夫な体に産んであげなくてごめんなさい。』 泣いていた。。。『ごめんなさい、ごめんなさい、、』と言いながら泣いていた。 心が引き裂かれるように辛かった。 自分ひとり苦しいんだと思っていた、情けなかった。 様々な気持ちが入り混じって涙となって溢れた。 ドナーの方の勇気、家族の愛情に感謝しながら、『絶対に病気に負けない、必ず良くなる!』 そう心の中で叫んでいた。 その後色々あって多少不便な体になったが、仕事も出来る。そして何より、大好きな渓でロッドが振れる。こんなごく当たり前のことが幸せに感じる、、、お世話になった全ての人達に感謝! 無事、7歳の誕生日を迎えました。(笑) 骨髄液の入ったパックが空になり、看護師を呼んだ。 しばらくして担当の医師が来て言った。 『おめでとう、これから血液型もAからOに変わるし、新しい○○さんの誕生ですね。』 だから今日は、もう一つの誕生日。
by red-bean
| 2007-10-13 23:12
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